アジアにおける稲作栽培技術の改良と持続的生産-日本、東北タイ、カンボジアの節水、多収、省力化のための事例研究-

平成19年度 成果一覧

鴨下 顕彦(東京大学アジア生物資源環境研究センター 准教授)
林 怜史(東京大学大学院農学生命科学研究科(独)農業・食品産業技術綜合研究機構北海道農業研究センター北海道水田輪作研究チーム)
池田 大行(日産化学工業株式会社生物科学研究所農薬研究部除草剤グループ)

要旨

アジアの持続的稲作を考案するために、日本の節水栽培、東北タイとカンボジアの直播栽培の事例研究を行い、個々の栽培方法の生産、水有効利用、省力性を評価した。世界的には水資源の有限性や枯渇の危険性が議論されているが、日本では2008年でも稲作の節水化への関心は低い。米価が安くなり、農業用水が大幅に課金され、栽培技術が向上することが、節水栽培の導入に必要である。1990年代に、移植栽培から若干収量が低い散播による乾田直播栽培への移行が大きく進んだ東北タイの試験では、条播栽培により生育や収量が改善されることを示したが、農家は散播による省力性をより重視し、いまだ条播の導入は低い。カンボジアでは、品種の選択や雑草管理法や圃場の水条件により、直播の収量を大きく改善できる展望を示した。これらの代替技術の開発・改良により、持続的稲作のためのよりよい選択肢が増えるが、環境・生態系を視野に入れ土地利用モデルや産業間連携モデルの開発も重要である。

キーワード

稲作、節水栽培、直播、栽培技術、産業間連携モデル、持続的農業