アジア域における広域大気汚染とその気候影響に関する研究

平成22年度 成果一覧

中島 映至(気候システム研究センター)
鶴田 治雄(気候システム研究センター)
Nick Schutgens(Clarendon Laboratory, University of Oxford)
五藤 大輔(国立環境研究所 地域環境研究センター)

要旨

本報告では、本研究で得られたアジア域の大陸スケールの大気汚染の気候影響と地球放射収支への影響に関す る成果を報告する。次の2つの重要な成果が得られた:すなわち 1) Skynet スカイラジオメータ観測網データ の解析システムの運用と改良、2) SPRINTARS エアロゾルモデルの改良とデータ同化システムの開発を行っ た。これらの研究の結果、Skynet 観測網は、本研究で開発した新しいデータスクリーニング手法を適応する ことによって、エアロゾルの光学的厚さ、粒径分布、複素屈折率を精度良く求めることができることがわかっ た。これらのデータは SPRINTARS モデルによるエアロゾル場との比較やデータ同化に利用される。 SPRINTARS モデルの改訂については次の成果が得られた、すなわち、硫黄プロセスの改良、硝酸塩エアロ ゾル、2次生成炭素エアロゾル、黒色炭素のエージング効果のモデル開発を行った。本研究ではさらに、 MIROC+SPRINTARS モデルを用いたエアロゾルデータ同化システムの開発を行い、NASA/AERONET サ ン・スカイフォトメータと MODIS 衛星センサーから得られたエアロゾルデータに適応した。それによると、 データ同化が海上でのエアロゾル場の再現を改善するのに役立つことがわかった。しかし、陸上の場合は改善 が見られなかった。このことは、陸上エアロゾル場の観測データには未だに大きな誤差が含まれていることを 示唆している。 開発したこれらのシステムは、現在、UNEP/ABC-Asia プロジェクトにおけるデータ解析や、後継の RECCA/SALSA プロジェクトにおける次世代大気モデルである NICAM ベースのシステム開発に応用されている。

キーワード

エアロゾル、大気汚染、地上および衛星リモートセンシング、光学特性

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