アジア農村地域における安全な水の持続的確保:小児・再生産年齢女性を焦点として

平成18年度 成果一覧

渡辺 知保(東京大学・大学院医学系研究科・人類生態学・教授)
梅崎 昌裕(東京大学・大学院医学系研究科・人類生態学・准教授)
吉永 淳(東京大学・大学院新領域創成科学研究科・環境健康システム・准教授)
関山 牧子(東京大学・IR3S・助教)

要旨

安全な水の確保は,多くの途上国で最も緊急性の高い課題の一つである.確保を阻む諸要因の中で,化学物質による水質汚染が問題となってきている.本研究では,バングラデシュにおける地下水の砒素による汚染,インドネシア西ジャワにおける農薬などによる河川水の汚染というタイプの異なる2つの問題をとりあげ,現地調査を実施し,途上国における水の確保について検討した.いずれにおいても,化学物質に対して脆弱なことが多い小児と再生産年齢女性とに着目した.バングラデシュにおいては,低栄養が,砒素毒性のエンドポイントとして,また修飾要因として重要である可能性を示した.低栄養は,先進国ではあまり注目されず,検討対象ともされない場合がしばしばであるが,こうした途上国に特有の要因の存在には注意を払う必要がある.西ジャワにおいては,現状での汚染の程度はそれほど深刻ではないものの,農薬の使用法の知識またその環境・健康リスクについての認識度は低く,技術移転や関連情報を積極的に提供することによって,不必要な悪影響を避ける努力が必要であると思われた.

キーワード

安全な水、地下水、砒素、表層水、農薬、小児、再生産年齢女性