アジア農村地域における市場経済化と健康転換:持続可能性の評価

平成21年度 成果一覧

梅崎昌裕 (東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻准教授)
渡辺知保 (東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻教授)
池本幸生 (東京大学東洋文化研究所教授)
吉永 淳 (東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)
関山牧子 (東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)特任助教)
蒋宏偉(東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻)

要旨

アジア諸国の農村部では,在来農耕から換金作物栽培への転換が急速にかつ広範に進行している.こうした農村の市場経済化は,農薬や食品添加物など化学物質の地域生態系への導入と放出・蓄積という側面をともない,農村部に居住する住民の健康・生存の持続性のみならずそこで生産される食品の安全性にも影響することが懸念されている.本研究課題では,さまざまな市場経済化のレベルにあるアジア地域の6カ国の農村部にある村落を対象に,生業転換とその環境影響を記述的に整理し,さらには多変量解析による一般化のための分析を通して,アジア地域において進行する生業転換と化学環境転換との相互関連性を明らかにした. 具体的には、インドネシア、ネパール、ベトナム、パプアニューギニア、バングラデシュ、中国・海南島のそれぞれの地域で、自然環境・社会環境の異なる4~7の村落を対象とし、過去50年間の生業転換のドライバーを明らかにし、その結果の記述をおこなった。さらに、1村落あたり200人、全対象地域の合計5500人を対象に生体試料の収集をおこない、重金属あるいは化学物質への暴露評価、一般健康指標の評価をおこなった.今年度は、主にパプアニューギニアにおいて収集したサンプルおよび事例の分析を継続し、都市化および市場経済化は、健康にかかわるいくつかの指標の一部にはよい影響を及ぼすものの、いくつかの指標には悪い影響を及ぼすこと、すなわちその影響は二面的であることが明らかになった。

キーワード

化学物質曝露,生業変容,健康影響,換金作物,アジア

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