アジア農村地域における市場経済化にともなう化学物質の導入・使用とその健康影響

平成20年度 成果一覧

梅崎昌裕(東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻准教授)
渡辺知保(東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻教授)
池本幸生(東京大学東洋文化研究所教授)
関山牧子(東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)特任助教)

要旨

中国をはじめとするアジア諸国の農村部では,在来農耕から換金作物栽培への転換が急速にかつ広範に進行している.こうした農村の市場経済化は,農薬や食品添加物など化学物質の地域生態系への導入と放出・蓄積という側面をともない,農村部に居住する住民の健康・生存の持続性のみならずそこで生産される食品の安全性にも影響することが懸念されている.本研究課題では,さまざまな市場経済化のレベルにあるアジア地域の6カ国の農村部にある村落を対象に,生業転換とその環境影響を記述的に整理し,さらには多変量解析による一般化のための分析を通して,アジア地域において進行する生業転換と化学環境転換との相互関連性を明らかにした.
具体的には、インドネシア、ネパール、ベトナム、パプアニューギニア、バングラデシュ、中国・海南島のそれぞれの地域で、自然環境・社会環境の異なる4~7の村落を対象とし、過去50年間の生業転換のドライバーを明らかにし、その結果の記述をおこなった。さらに、1村落あたり200人、全対象地域の合計5500人を対象に生体試料の収集をおこない、重金属あるいは化学物質への暴露評価、一般健康指標の評価をおこなった。これまでの分析で明らかになったことは、以下の3点である。(1)生業転換にともなう化学物質の導入とその健康影響のパタンは、国間の変動よりも国内の変動の方が大きい;(2)生業転換の影響のうけかたは男女で異なる;(3)政策と生業/健康の関係は、村落ごとの個別性が高い。

キーワード

化学物質曝露,生業変容,健康影響,換金作物,アジア

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