アンコール遺跡周辺の水環境の過去・現在-持続可能な開発のための水管理に向けて-

平成20年度 成果一覧

徳永 朋祥(東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻 准教授)
知花 武佳(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 講師)

要旨

クメール王朝期に行われたと考えられる河川分岐が現在のアンコール地域の水挙動に与える影響について研究を実施した。シエムリアップ川がプオック川から分岐する地点では、シエムリアップ川の河床低下が起こっており、その結果として少なくとも乾季には、シエムリアップ川のみに表流水が認められ、プオック川方向への河川水の流下は認められなかった。西バライ北側における地下水面計測からは、乾季には、地下水は河川に向かって流動・流出していることが示された。これらのことは、河川分岐の結果として発生した河床低下が表流水流動パターン及び地下水位に強く影響を与えたことを示唆しており、当該地域において、長期にわたる水挙動の変化が起こったと考えられる。本地域の水資源の適切な管理のためには、更なる研究が必要である。

キーワード

アンコール地域、河川分岐、地下水、水循環系