カンボジア・プレアビヒア世界遺産地域環境保全型開発研究プロジェクト

平成22年度 成果一覧

横張 真(東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学教育プログラム 教授)
吉田 恒昭(東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻 教授)
山路 永司(東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻 教授)
大久保 悟(東京大学大学院農学生命科学研究科 助教)

要旨

この研究報告書は2009年8月、10月そして2010年3月の3回に渡って行われた現地調査と関係機関との対話によって作成されたものである。その目的は世界遺産プレアビヒア寺院遺跡の周辺地区約420km2を対象として、現況の分析と併せてプレアビヒア世界文化遺産の多様な潜在的価値が周囲の森林資源景観の適切な保全養生により高い価値をもたらすものと確認し、当該地域開発保全のビジョンとそれを達成するための構造化された手段と目的の因果配列として示したものである。具体的には、プレアビヒア地域の究極的ビジョンとして、世界文化遺産を地域資源の中核として、観光産業を含めた地域経済成長を実現する低炭素型地域開発(ネットゼロ・エミッション・コミュニティ開発)を提唱し、併せて地域の生産消費システムを3Rs (reduce, reuse, recycle)原則を旨とし、資源循環型の有機農業を推進する地域社会コミュニティの構築を提案している。この保全と開発のアプローチは当該地域のローカルな課題と21世紀のグローバルな課題の同時解決を試みることを意味し、今後の政府や援助機関に指針を与えるのみならず、アジア途上国における持続可能な地域社会造りへの先験的モデルとならんことも目論んでいる。本研究は東京大学におけるこれまでの持続可能な社会づくりに関する研究成果を、後進性の利益を最大限に利用する形で、後発国カンボジアの地域保全開発事例に適用せんとする挑戦的な試みでもある。

キーワード

世界遺産保全開発、開発途上国、持続可能な開発、森林景観保全、里山、カンボジア