ガンジス河流域における砒素汚染 持続可能な対策への多面的アプローチ

平成15年度 成果一覧

大塚 柳太郎(東京大学 大学院医学系研究科人類生態学)
山本 和夫(東京大学 東大環境安全研究センター)
渡辺 知保(東京大学 大学院医学系研究科人類生態学)
福士 謙介(東京大学 東大環境安全研究センター)

要旨

バングラデシュおよびネパール・タライ地方はいずれもガンジス流域にあって,砒素による井戸水の汚染が問題となっている.本年度,健康影響評価については,タライ地域の3つの集落での調査を2002年12-2月ならびに2003年8月の2度にわけて実施した.小児を含む男女1,343名を対象とする検診により,当該地域における皮膚症状の有所見率は6.9%であったが,15才未満(n=526)では0.6%と極めて低く,また15才以上においては有意な性差(男15.4,女6.6%)を認めた.尿中ヒ素排泄量と有所見率の量?反応関係についても同様の性差が存在し,バングラデシュにおける観察と一致した.ボディマスインデックス(BMI)を指標とする栄養状態で対象者を分けると,低BMI群で有所見率が有意に高く,ヒ素曝露レベルが中位のグループでその差が顕著であり,低栄養においてヒ素の毒性症状が増悪する可能性が示唆された.一方で,ヒ素曝露レベルとBMIとには有意の負の相関があり,ヒ素が低栄養状態の引き金となる可能性も示された.砒素除去技術に関しては,現地へ適用可能性が高いAIRPとIARPについて検討し,除去効率を左右する要因として鉄濃度,濾層の閉塞状況などを見いだした.

キーワード

水の汚染、砒素(非人為的)、飲料水、健康影響、曝露評価、栄養状態、砒素の除去、アジア