データ駆動型サステイナビリティ・イノベーションのデザイン

平成20年度 成果一覧

鎗目 雅(東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学教育プログラム 准教授)

要旨

エネルギー・水・食料資源に関わる長期的な制約から、地球規模でのサステイナビリティに関する懸念が世界的に強まっている。このような科学技術、経営、政策、制度が相互に絡み合う問題に対しては、各個人・組織が単独で対処していくことが極めて困難であり、ネットワークを通じてそれぞれが共創的に取り組むことにより、社会レベルでのイノベーションを創出していく必要がある。これまでサステイナビリティ・サイエンスにおいては、自然・人間・社会システムの間の複雑でダイナミックな相互作用の性質・特徴に関する議論が行われてきたが、そのメカニズムやプロセスを分析するための新たな概念・方法論の開発が求められている。その一つの可能性として、知識の循環システムという観点からサステイナビリティに向けたイノベーションを捉え、様々なアクターが多様な知識の生産・伝達・活用に関わるプロセスを詳細に分析することが考えられる。太陽電池と水処理膜技術に関する具体的なケースは、知識循環システムにおける不整合性がイノベーションを創出する上で大きな問題となる可能性があることを示している。今後、特定の技術領域や産業セクターに対象を絞り、自然科学、工学、社会科学を含む学融合的なアプローチを用いて科学技術、環境影響、金融などに関わる知識の循環システムを分析することで、サステイナビリティ・イノベーションに関する一般的なモデルの形成が期待される。

キーワード

サステイナビリティ・イノベーション、知識循環システム、企業戦略、公共政策、制度設計

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