ハノイにおける水流実態の解明とその効果的改善に関する基礎的研究

平成18年度 成果一覧

知花 武佳(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻  講師)

要旨

ベトナムの首都ハノイは紅河に接しており,市内にもたくさんの河川や湖が見られる.しかし近年,ハノイにおける低平地では市街化が進んでおり,洪水対策は喫緊の課題となっている.本研究では,効果的な治水対策について検討するため,紅河及びその支流における水流の実態を現地視察,ヒアリング,資料収集により把握することから始め,その対策について考察した.その結果,まず支流の多くは大きく蛇行していると共に,河道内では樹林化や河床上昇が進んでおり,周辺がすでに宅地化されていることも考えると,放水路として活用するのは適切ではないという状況が明らかとなった.この様な川は,内水の排水や農業用水路として活用すべきであって,紅河本川の治水対策は,本川の河道内で考えるべきであると考えられる.しかし,紅河本川においては,堤防を構成する地質がもろく,河岸侵食が問題となっており,堤防一杯まで流下能力を確保できていない.この様な河川において,堤防の水漏れが顕著な箇所,旧河道の位置,現状の流線を比較することにより,河道特性を把握し,危険箇所を予測した.こうした過程で,紅河の堤防法線は,未だ自然のダイナミクスにより支配されていることがわかり,この法線をうまく活用しつつ,改善すべきだという提案を行った.また,よりマクロなスケールからの治水対策の必要性についても言及している.

キーワード

ハノイ、紅河、支流、河岸侵食、堤防法線