バングラデシュにおける持続可能な砒素汚染対策

平成12年度 成果一覧

大塚 柳太郎(東大(院)・医学系研究科・人類生態学)
山本 和夫(東大環境安全研究センター)
渡辺 知保(東大(院)・医学系研究科・人類生態学)
呉 政益(東大(院)・工学系研究科・都市工学)
北脇 秀敏(東洋大・国際地域学科)
浦瀬 太郎(東工大・土木工学科)
中尾 真一(東大(院)・工学系研究科・化学システム専攻)
菅原 孝(東大(院)・工学系研究科・化学システム専攻)

要旨

バングラデシュでは国内全域に渡り,砒素による井戸水の汚染が問題となっている.同国北西部において成人を対象に行った調査では,砒素による皮膚症状の発現程度には性差・地域差があることが示唆された.対象住民の栄養状況が,このような差の原因になっている可能性を検討する目的で,食事調査ならびに尿中微量元素の定量を行ったところ,ビタミン・ヨウ素について軽度から中等度の欠乏があることが示唆された.これらの欠乏が砒素による症状の増悪にどれほど寄与するのか,さらに検討が必要であろう.また,これまでほとんどデータがなかった未成年者について皮膚症状を調べたところ,手掌・足底部の角質化が見いだされた.また,手掌部の角質化のみが曝露指標と相関することが見いだされ,これは未成年者に特徴的であった.砒素除去技術の開発に関してはナノろ過膜を人力ポンプと組み合わせて使うシステムについて,現地で試験運転し,砒素の除去が可能である結果を得た.しかし,除去率は砒素の化学形態によって異なり,前処理操作の必要があることが示唆された.