バングラデシュにおける砒素汚染 実態を踏まえた持続可能な汚染対策

平成13年度 成果一覧

大塚柳太郎(東京大学 大学院医学系研究科人類生態学専攻)
山本和夫(東京大学 環境安全研究センター)
渡辺知保(東京大学 大学院医学系研究科人類生態学専攻)
北脇秀敏(東洋大学 国際地域学科)
真柄泰基(北海道大学 大学院都市環境工学専攻)
島崎大(東京大学 工学部附属総合試験所)

要旨

バングラデシュでは国内全域にわたって,砒素による井戸水の汚染が問題となっている.同国北西地域の1集落において,母児51組より尿,母乳を採取し砒素濃度を測定することによって,乳幼児における砒素曝露実態の把握を目指した.その結果乳幼児の尿中砒素は,母親の尿中砒素濃度とよく相関すること,24ヶ月齢未満の群では年齢とも相関があることが見出された.母乳(n=25)中の砒素濃度は最大で38ng/mLであり,濃度としては飲料水の安全基準より低いが,砒素汚染地域住民についての既存の報告値と比較してかなり高く,母乳からの砒素曝露が無視できないケースがあることが示唆された.また,HPLC- ICP-MSを用いた尿中砒素の形態別分析より,砒素曝露レベルが高い場合,第2段階のメチル化が抑制される可能性が示唆された.これらについては,今後例数を増やした検討が必要であると考える.砒素除去技術については,実際に用いられている複数の除去方法で処理された水を現地にて採水し,形態別分析により除去効率を評価した.

キーワード

水の汚染、砒素(非人為的)、飲料水、健康影響、乳幼児への影響、化学形態別分析、HPLC-ICP-MS、IC-CIP-MS、砒素の除去、バングラデシュ