中国東北部の気候温暖化に対する農業の適応

平成19年度 成果一覧

小林 和彦(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻)
福原 弘太郎(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻)

要旨

中国東北部の黒龍江省で米生産が急速に拡大しており、収穫面積が日本のそれを上回るに至っている。幾つかの先行研究は、この米生産急拡大の原因を温暖化に求めているが、日本から導入され普及した育苗技術による冷害回避の効果も大きいと考えられる。そこで、温暖化と育苗技術普及が黒龍江省のコメ収量に及ぼした影響を解析するために、気候的に到達可能な最大収量と冷害による減収をそれぞれ推定するモデルを組み合わせてシミュレーションを行った。その結果、最近のコメ収量増加には、技術普及の効果が大きく、温度上昇の影響は小さいことがわかった。また、将来の温暖化が黒龍江省のコメ生産に及ぼす影響について、感度分析を行ったところ、温暖化した気候に合った品種を選択することで、コメ生産を大幅に増やすことが可能であると考えられた。ただし、水資源がコメ生産の増加を制約する可能性があることも見出された。

キーワード

中国,コメ,気候変化,農業技術,適応