地球気候変動に対する地生態系の応答

平成15年度 成果一覧

大森 博雄(東京大学 大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 教授)
鈴木 和夫(東京大学 大学院農学生命科学研究科森林科学専攻 教授)
古田 公人(東京大学 大学院農学生命科学研究科森林科学専攻 教授)
須貝 俊彦(東京大学 大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 助教授)
太田 剛(東京大学 大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 助手)
疋田 賢吾(東京大学 大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 修士課程3年)
寺園 淳子(東京大学 大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 博士課程2年)

要旨

本プロジェクトでは、気候変化が顕著に現れる中緯度高山地域において、温暖化を実験的に創出し、気温、植生の変化を継続的に観測・計測することによって、地球温暖化に対する地形、土壌、植生、動物相等の地生態系の応答を検討している。本報告では、温暖化実験による植生変化の観測・観察結果を報告する。 本プロジェクトでは、1997年以降、日本島中部の乗鞍岳 (3026m) のハイマツ帯内のポケットで温暖化実験(実験地の海抜高度: 2780m)を行ってきた。温暖化実験は緩傾斜の熔岩台地の高山植生地域において、5基の底面直径85cm、高さ30cmのプラスティック製オープントップチャンバーによって行い、それぞれのチャンバー側近にコントロールを設けた。オープントップチャンバー内においては、コントロールに比べて約0.6 ℃程度の気温上昇が認められた。この気温上昇によって、一般的には、植生の生育が良くなり、成長期間も長くなり、植物の季節変化も大きく変化するが、個々の種ごとに昇温に対する応答は異なる。結果として、成長量が大きく、樹冠を横に広げるタイプの樹種が分布域を広げていることがわかった。

キーワード

気候変動に対する植生の応答、地球温暖化、植生変化、植生の温暖化効果実験、日本の高山植生群落