大気汚染物質の発生、消滅に関する分子論的機構の解明 ―理論的アプローチ―

平成15年度 成果一覧

平尾公彦(東京大学 大学院工学系研究科応用化学専攻 教授)
山下晃一(東京大学 工学系研究科化学システム工学専攻 教授)
高塚和夫(東京大学 総合文化研究科相関基礎科学 教授)

要旨

大気中汚染物質として考えられる様々な化学物質の構造、電子状態等の分光学データに関する理論的アプローチとして以下のプロジェクトを実施した。(1)次世 代分子理論を開発し、わが国で初めての本格的な分子理論計算のプログラム・パッケージUTChemを開発し、リアル系のシミュレーションとダイナミクスに 応用するため、以下の5項目について研究をすすめた。1.数百原子系を定量的(kcal/molの精度)に扱える新しいab initio分子理論の開発と応用、2.千原子系を半定量的に扱える密度汎関数理論の開発と応用、3.重い元素を対象とするために相対論的分子理論の開発と応用、4.Ab initio電子状態理論を基にする動力学理論の開発と応用、5.分子計算プログラム・パッケージ「UTChem」の開発。(2)大規模集積回路(LSI)の微細化に関連して、ゲート絶縁膜のhigh-k材料として用いられるAl2O3成 膜のAtomic Layer CVD(ALCVD)における反応機構について量子化学計算を用いて最適な反応条件等を提案することを目的とした。(3)NaI分子の励起状態動力学を例 に、散乱理論計算から得られるイオン化遷移振幅を取り入れた量子波束動力学計算の結果から、観測されるシグナルの時間変化によって得られる知見を中心に、 光電子角度分布・エネルギー分布にどのような特徴があらわれるかを示し、非断熱遷移の実験的な観測の可能性を具体的に予測した。

キーワード

電子状態理論、UTChem、原子層CVD、高誘電率材料、時間分解光電子分光、量子波束動力学計算