天水零細農家の視点での稲作技術改良と普及―カンボジアの例―

平成22年度 成果一覧

鴨下 顕彦(東京大学アジア生物資源環境研究センター 准教授)
Nguyen Yen(東京大学アジア生物資源環境研究センター博士課程, 現ハノイ農業大学講師)
荒木 祐二(東京大学アジア生物資源環境研究センター特任助教, 現埼玉大学准教授)
池本 幸生(東京大学東洋文化研究所・教授)
金氣興(東京大学東洋文化研究所・研究員)
桜木 和代(日本・カンボジア法律家の会・代表)

要旨

カンボジアのトンレサップ生物水圏にあるコンポンチュナン州のTY村の9つの調査圃場では、2008年の雨季作では、在来種のみの作付けで、化学肥料はほとんど施用されず(32㎏/ha)、平均収量は1.4t/haと低く、いわゆる緑の革命の技術は受容されていなかった。2009年に、15人ずつの4つの農家グループ(合計60人)を作った:(1)0.2haの水田の推奨の化学肥料(28㎏)、(2)0.2haの改良品種の種子(10㎏)、(3)(1)と(2)、(4)何も与えない(コントロール)。グループ農家の平均作付面積は0.78haであり、2009年の面積ベースの資材供与面積割合は13%と推定された。2009年の収量改善効果は改良品種にだけしか見られなかったが、2010年は何も供与しなかったのに、面積ベースの新技術受容割合は、種子が22%、化学肥料が25%と増加しており、収量改良の効果は改良品種と化学肥料の双方に見られた。2009年の圃場試験では、地形連鎖的に高位な水田(乾燥しやすい)と低位な水田(水が潤沢にある)の双方で、化学肥料と改良品種の単独効果と相乗的な正の効果が認められた。2010年の圃場試験でも化学肥料の大きい効果が見られたが、改良品種の効果は上位田では見られず、またカリウム施肥効果も見られなかった。以上の試験場での知見と農家受容調査から小規模天水農家の技術普及を妨げる/加速する要因について考察した。

キーワード

カンボジア、化学肥料、改良品種、緑の革命、天水田

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