持続的な穀物栽培システム確立のための農業生態学的研究 -小規模圃場におけるSSCMの可能性の検討-

平成12年度 成果一覧

中元 朋実(東京大学大学院 農学生命科学研究科農学国際専攻・助教授)
山岸 順子(東京大学大学院 農学生命科学研究科農学部附属農場・助教授)
小柳津 広志(東京大学大学院 農学生命科学研究科農学国際専攻・教授)

要旨

小規模な圃場におけるSSCM(site-specific soil and crop management, 土壌と作物の局所管理)の可能性を検討するために、作物生育の安定性と空間変動性に関する圃場実験を行った。 3年間にわたり,表面撹拌だけを行う減耕起区と慣行のプラウ耕による耕起区とを設け(それぞれ25m×50m),一年二作の輪作体系の下にコムギとトウモロコシを栽培した。収穫期における地上部バイオマスを, 2.5m×5mの間隔で各区の100地点で測定し,median polishingによって,測定値を大規模構造を示すトレンドと小規模構造を示す残差とに分けた。トレンドに関しては、耕起区のトウモロコシでは3作の結果が類似しており、安定的な構造が存在するとみられた。また、コムギとトウモロコシは概して逆のパターンを示した。残差によるセミバリオグラムによると、減耕起区には2.5m以上の空間依存性はみられなかったのに対し、耕起区では影響圏2.5-4.5mの空間依存性がみられた。地上部バイオマスでみる限り、十分な安定性あるいは空間依存性がえられない場合のあることから、小規模な圃場でSSCMを実現するには、作物種や耕起法などに工夫が必要であることが示唆された。