持続的な農業生態系の構築に関する研究- 耕起が土壌生物に与える影響 –

平成16年度 成果一覧

中元朋実(東京大学 大学院農学生命科学研究科農学国際専攻)
三浦 史(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻)
金田 哲(独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター)
岡野 正豪(独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター)
中嶋 美幸(独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター)
村上 敏(独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター)

要旨

火山灰土壌(黒ボク土)において耕起が土壌生物に与える影響を解明するために、不耕起栽培と慣行耕起(ロータリー耕)栽培を実施し、土壌微生物バイオマスと土壌動物個体数の変動や分布を調査した。不耕起区の土壌の浅い層(0-10 cm)では、慣行耕起区に比べて、細菌と糸状菌の基質誘導呼吸(SIR)が高くこれらのバイオマスの大きいことが示されたが、ヒメミミズが多かった以外、原生動物、線虫、小型節足動物の個体密度には微生物バイオマスに対応した変化がみられなかった。これに対して、慣行耕起区の土壌の深層(10-20 cm)では、不耕起区に比べて、微生物SIRが高く、原生動物、線虫、ダニ、トビムシの個体密度が高かった。一般に耕起によって土壌生物の数は減少するとされているが、火山灰土壌ではこの負の効果が緩和されているとみられる。有機農業等、耕起を不可欠の要素とする作物栽培システムにおいては、土壌生物の保全効果を備えた耕起法の開発が望まれる。

キーワード

不耕起栽培、土壌生物、土壌生態系