東アジアの農業生産に及ぼすオゾン濃度上昇の影響評価: 2. オゾン吸収モデルの開発

平成18年度 成果一覧

小林 和彦(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻 教授)
スティーブロング(イリノイ大学作物植物科学部 Robert Emerson 教授)
大上 博基(愛媛大学農学部生物資源科学科 教授)

要旨

東アジアでは,エネルギー生産の急増とともに窒素酸化物の排出量が急速に増加しており,その結果地表オゾン濃度が上昇を続けている。地表オゾンが農作物の生長や収量を減少させることは,すでによく知られており,最近の濃度上昇が東アジアの農業生産に及ぼす影響が懸念される。オゾンは,植物の葉に存在する気孔を通して植物体内に吸収され,植物の組織を傷める。従って,その影響を把握するためには,葉のオゾン吸収量を的確に捉えることが必要である。本研究では,米国イリノイ大学のFACE(開放系大気濃度上昇実験)施設で,大気オゾン濃度を上昇させたダイズ畑と対照ダイズ畑において観測を行い,気孔コンダクタンスサブモデルを構築した。また,群落内部におけるオゾン濃度鉛直分布の測定結果を援用して,多層モデルによる個葉のオゾン吸収プロセスモデルを構築し,個葉によるオゾン吸収量の鉛直分布と群落によるオゾン吸収量を推定した。構築したモデルは,群落内部と上部におけるオゾン濃度の鉛直分布をよく再現できた。また,中国江蘇省江都市郊外の圃場観測に基づいて,コムギの気孔コンダクタンスサブモデルの開発に着手した。

キーワード

オゾン、ダイズ、コムギ、モデル、吸収量