東南アジア巨大都市縁辺部の土地自然・土地利用変化とその適正化に関する研究 ―バンコク郊外における地形改変と土地利用変化―

平成14年度 成果一覧

武内和彦(東京大学 大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻教授)
春山成子(東京大学 大学院新領域創成科学研究科環境学専攻助教授)
大久保悟(東京大学 大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻助手)

要旨

東南アジア巨大都市の多くは,河川最下流域の低湿地,特にデルタに立地しており,近年の人口増加に伴って,従来の農村的土地利用と,新たな都市的土地利用との混在が,都市縁辺部に急速に拡大しつつある。こうした土地利用の混在は,洪水をはじめとした各種都市環境問題を引きおこしており,効果的な都市成長管理が求められている。本事例研究においては,典型的なデルタ立地型巨大都市であるバンコクをとりあげ,郊外部における土地利用変化を探るとともに,洪水防備に不可欠な地形改変行為に着目して議論を構築した。研究は,空中写真判読と,現地調査をもとに,GISを適宜援用しつつ進めた。結果として,現在の土地利用の混在形態は,過去の農業インフラの整備プロセス,ひいてはその背後にひそむ土地自然条件の影響をも強く受ける形で成立していることが明らかになった。すなわち,大規模圃場整備区では大規模集合住宅が卓越するのに対し,圃場未整備区では密集戸建て住宅地が広がっている。さらには,土地利用と現在の地盤高との間には,有意な相関が認められ,地域住民が,巧みな地形改変を通じて,農地の多角化と都市化の両方に対応してきた歴史を読みとることができた。以上のように,過去の農業インフラの整備過程と,地形改変行為は,今後持続可能な土地利用計画を考える上での,主要な指標になりうる可能性が,本研究を通じて示唆された。
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キーワード

デルタ、アジア巨大都市、土地利用変化、地形改変、地理情報システム