気候変化に農業が適応するしくみの実態解明

平成21年度 成果一覧

小林 和彦(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻 教授)
相澤 麻由(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻 博士課程学生)
藤沢 茉莉子(東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻 博士課程学生)

要旨

本研究は、個々の農家レベルからボトム・アップ的に、気候変化に農業が適応するしくみの解明をめざした。ヴェトナム・メコンデルタ沿岸部のソクチャン省での水稲3期作の拡大は、水文環境変化への農家の適応とみなされるが、技術革新の普及と同様の過程を経て開始・拡大したことが明らかになった。一方、長野県北部のリンゴ農家の温暖化への対応は、生産物の販売経路に依存していた。市場出荷主体の農家は、着色不良を主な問題と認識しており、着色促進技術の採用で温暖化に対応していた。一方、直接販売主体の農家は、完熟の遅れを主な問題と考え、着色促進よりも出荷を遅らせて「蜜入り」を待つことで対応していた。このように、農家は気候変化に個別対応するのではなく、農村社会ネットワークあるいは販売ネットワークの中の機会と制約の中で適応していることが明らかとなった。

キーワード

塩水遡上、イネ、温暖化、リンゴ