海水中の微量金属元素と生物生産

平成13年度 成果一覧

野崎義行(東京大学 海洋研究所海洋化学部門教授)
ディアソットアリボ(東京大学 大学院理学系研究科化学専攻博士課程)
小畑 元(東京大学 海洋研究所海洋化学部門助手)

要旨

Al, In およびCeのような元素は、海水中で著しく濃度が低くコンタミネーションを受けやすいため、それらの海洋地球化学的挙動はまだよくわかっていない。それらは、海水中では不溶性であり、海洋平均滞留時間も海水の混合速度(約103年)に比べて短いため、海洋における岩石起源物質の鋭敏で有用なトレーサーとなりうる。ここでは、東部インド洋の表層海水における溶存Al, In Ce の分布と挙動を報告する。 これらの元素の緯度分布を、河川および沿岸堆積物由来の228Ra(半減期、5.7年)の分布と比較すると、Alの場合には非常によく似ていた。このことは、もし河川や沿岸から以外にAlのフラックスが存在する(たとえば、大気エアロゾル)とすれば、表層でのAlの平均滞留時間は5.7年以下であることを意味する。また、大気起源の210Pb(半減期、22.3 年)との比でみると、表層海水と大気はほぼ同じ程度であった。このことは、表層海水中のAlの平均滞留時間は、210Pbの値(0.5 – 3.0年)と同程度であることがわかった。

キーワード

微量元素、アルミニウム、インジウム、セリウム、海水、生産性、インド洋