発展途上国の環境汚染と健康影響に関する研究 ―国際共同研究の展開―

平成15年度 成果一覧

横山 和仁(東京大学 大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野 助教授 現:三重大学 医学部公衆衛生学講座 教授)
小林 廉毅(東京大学 大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野 教授)
Mohsen Vigeh(東京大学 大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野)
坂井 公(東京労災病院産業中毒センター・センター長)
荒記俊一(独立行政法人産業医学総合研究所理事長・東京大学名誉教授)

要旨

化学物質による環境汚染は発展途上国における重要な健康問題のひとつとなっている。この問題の解明のために、我々はこれまでマレーシアのKelantann 州のタバコ栽培作業者を対象に農薬の健康影響と安全使用の調査を行ってきた。今回は、これをさらに展開し、新たなフィールドとしてテヘラン(イラン)における鉛の母子影響を調査した。対象は職業上の化学物質曝露(鉛を含む)がない55組(110名)の妊婦、すなわち妊娠高血圧55例、年齢27 ± 5.6 (17~40) 歳とこれらと年齢・体重がマッチする健常妊婦55名(対照群)である。対象はいずれも妊娠第37 ±2.5 (30~41) 週齢で、調査は出産後24時間以内に行った。妊娠高血圧例では血中鉛が5.7±2 (2.2 ~12.6) μg/dl (0.27 ± 0.10, 0.11 ~ 0.60 μmol/l)で、対照群の血中鉛4.8 ± 1.9 (1.9 ~10.6) μg/dl (0.23 ± 0.09, 0.09 ~0.51 μmol/l)より有意に高かった。これより、低濃度鉛曝露が妊娠高血圧のリスクとなると推定された。

キーワード

発展途上国、環境汚染、健康影響、鉛、妊娠高血圧、子癇前症