発展途上国の環境汚染と健康影響に関する研究 -マレーシアの農薬問題を対象として-

平成14年度 成果一覧

横山和仁(東京大学 大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野 助教授 現三重大学 医学部公衆衛生学講座 教授)
小林廉毅(東京大学 大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野 教授)
佐藤 元(東京大学 大学院医学系研究科社会医学専攻公衆衛生学分野 講師)
荒記俊一(独立行政法人 産業医学総合研究所理事長・東京大学名誉教授)

要旨

化学物質による環境汚染は発展途上国における重要な健康問題のひとつとなっている。この問題の解明のために、今回の研究では、マレーシアの Kelantann州のタバコ栽培作業者を対象に農薬の健康影響と安全使用の解析を行った。非喫煙者において、タバコ栽培作業者では対照(事務作業者)より尿中コチニン(ニコチン代謝物)排泄レベルが有意に高かった。また、このレベルが間接喫煙を超える者では、これ以下の者より眼症状の訴えが有意に多かった。保護具使用者ではこの訴えは非使用者より少なかった。さらに、有機リン使用者では自覚症状の訴えが多かった。また、ピレスロイドを多量に使う者では筋力低下の訴えが多かった。これらの作業者では、ニコチンによるグリーンタバコシックネスと農薬の健康影響の双方に配慮が必要であると示唆された。特に、ピレスロイドは一般に信じられているより毒性の高い可能性がある。

キーワード

発展途上国、環境汚染、健康影響、農薬、安全使用行動、ニコチン、グリーンタバコシックネス