資源環境研究における政治・行政学的アプローチの体系化

平成18年度 成果一覧

佐藤 仁(東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻 准教授)
王 智弘(東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻 博士課程)

要旨

本研究では、資源環境研究における政治行政的アプローチを体系化するための準備として、戦前から戦後にかけての政府による資源研究をレビューする。具体的には、「持たざる国」としての認識が長く浸透してきた日本において、戦前から戦後にかけて資源論がどのように立ち上がり、展開してきたのかを検討する。日本では、資源の欠乏が著しく感じられた第一次大戦期から終戦直後の時期に資源論がまとまった形で展開された。戦前期における「資源」の概念は、「持たざる国」という自覚が海外侵略の口実として利用されていく過程で、多様な国力の源泉を総括的に動員する圧力から定着した。戦争の終結に伴い米国から民主的な資源論の注入を受けた日本は、一転「国民生活」の維持という目的に向けて徹底した合理化と科学技術の応用を資源政策に具現化しようとした。国力強化を求心力とした戦前の資源論とは対照的に、戦後の総合化は生活資源の切迫と災害などの脅威に駆り立てられる形で生じた。欠乏感が最も強かった時代に栄えた資源論の蓄積は、日本が豊かになる過程で勃興した環境論に生かされることがなかった。資源論そのものも1980年代以降、ほとんど受け継がれていない。資源問題への政治的・行政的アプローチの体系化は、まず、戦後の資源調査会の設立経緯とその政治的背景の解明からはじめるべきと考えた。本研究は、そのための助走として戦前から戦後にかけての資源論のサーベイを行い、今後の展望を試みるものである。

キーワード

資源論、資源調査会、資源概念