開発と環境:東アジアの大気汚染対策から

平成12年度 成果一覧

石見 徹(東京大学大学院 経済学研究科教授)

要旨

1970年代初頭から80年代半ばにかけて、日本の大気汚染対策は意欲的に進められ、なかでもSO2に目覚しい効果があらわれた。この事実は、環境クズネッツ曲線の議論にも通じが、公害に対する住民運動やそれに対応した行政当局の取り組みが第1の要因であり、また第2に、排出源となる企業の側でも脱硫化技術の開発やエネルギー効率の上昇が図られた。東南アジアの諸国では、同じ所得水準であった時期の日本に 比べて、大都市の大気汚染は概して改善している。ここでも行政側が早くから環境対策に取り組む姿勢がみられ、また企業側でもSO2の排出減に努力がみられる。両者の対応には先進諸国の経験に学ぶという共通性がみられるといえよう。

データ処理は下井直毅氏(東京大学経済学研究科日本経済国際共同研究センター)から支援を受けた。記して謝意を表したい。