韓国の地方社会における持続的な地域開発の可能性と条件に関する人類学的研究

平成18年度 成果一覧

本田 洋(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)

要旨

本報告では,韓国南西部南原地域の開発事例に即して,過疎化と老齢化が進む韓国の地方社会における持続的な地域振興の可能性とその条件について考察を加えた。春香祭という地域祝祭と,南原木器という特産品製造の事例の検討から明らかになったこととして,(1)地域祝祭の享受や特産品の使用は,しばしば文化の消費という枠組で評価されるが,商品としての文化が多様化・細分化し,競合しつつある状況において,消費という観点から開発の持続性を論ずることは必ずしも生産的ではない。(2)地域内部の特定の主体に財政的な援助を行なうことに留まっている地方行政体の関与が,多様で意欲的な諸主体の参与を妨げ,祝祭・産業の開発の持続的な展開を妨げる危険性も見てとれる。結論として,消費ではなく参加,特定の主体による既得権益化ではなく多様な主体の関与が,地域振興の持続性を論ずる枠組として,より有効ではないかと考えられる。

キーワード

韓国、地域開発、産業化、文化の消費、参加